彩の国シェイクスピア・シリーズ第22弾『ヘンリー六世』(4月16日【金】12:30~/シアター・ドラマシティ)

2010年04月19日 17:58

ここのところ、上川隆也さん出演の舞台は必ず観に行っている私。
舞台上の上川さんの存在感に惚れている、と言っても過言ではないかも知れません。
それでも今回の『ヘンリー六世』は上演時間が縮めても6時間半と聞いていたので、最初は観ようかどうしようか真剣に悩みました。
それに上川さんがヘンリーだなんて…。シェイクスピアならば上川さんには是非リチャード三世あたりを演って欲しかったんだけどなぁ(『天保十二年のシェイクスピア』では佐渡の三世次を演ってらっさるし)。
だけど、結局チケットを取ってしまったのは「やっぱ上川さんの初シェイクスピアが観たい!」と思ったからでした。
取れた席も8列目センター上手通路寄りというなかなかいいポジションだったしね♪

『ヘンリー六世』

【STORY】
イングランド王ヘンリー五世の死により、その息子ヘンリー六世が王位を継承するが、若い王は政治情勢を統治できず、身内の摂政グロスターと司教ウィンチェスターは反発しあっている。
フランスではジャンヌ・ダルクが皇太子シャルルと共に軍を率い、イングランド軍と激しく攻防する。
イングランド国内では、ランカスター家とヨーク家それぞれを支持する貴族たちが対立し、一触即発の状況が続いていた。
イングランドとフランスの間に和平が締結し、ジャンヌは処刑される。
ヘンリーはサフォーク伯の策略によりアンジュー公の娘マーガレットと結婚する。
ヘンリーの忠臣グロスター公の妻エリナーが反逆の罪で処せられ、その後グロスター公も王妃マーガレットの愛人となったサフォークの謀略により処刑される。ヘンリーはサフォークを追放し、王妃は悲嘆する。
一方、密かに王位奪還の準備を進めていたヨーク公が出兵し、薔薇戦争が勃発する。
戦いはヨーク家が優勢となり、ヘンリーはヨーク公に王位の譲渡を約束するが、マーガレットは大軍を率いてヨーク公を刺殺する。
両家激戦の末ヨーク軍が勝利し、ヨーク公の長男エドワードが新王として即位する。
マーガレットたちはフランスに逃走し王ルイに助けを求めるが、エドワード軍の追撃によりマーガレットは捕らえられ、息子の皇太子は殺害される。
ロンドン塔に幽閉中のヘンリーもエドワードの弟リチャードに刺殺され、薔薇戦争は終結を迎える。
が、野心家のリチャードはすでに次の王位を目論んでいた…。

【CAST】
ヘンリー六世…上川隆也

ジャンヌ・ダルク/マーガレット…大竹しのぶ

リチャード…高岡蒼甫
サフォーク伯爵/ジョージ…池内博之
シャルル/エドワード…長谷川博己

オーヴェルニュ伯爵夫人/グレイ夫人エリザベス…草刈民代

ヨーク…吉田鋼太郎

グロスター公爵…瑳川哲朗 

ウィンチェスター司教…たかお鷹
トールボット卿…原 康義
ウォリック伯爵…横田英司
サマセット公爵…星 智也     他

演出…蜷川幸雄
作…W.シェイクスピア
翻訳…松岡和子
構成…河合祥一郎



とにかく出演者が多いので、私が特に目を引かれたキャラクターを演じた方のみ【CAST】に挙げています。
もちろん蜷川組の役者さんはやっぱり「流石!」でしたけどね。

もう大阪千秋楽も終わったし、別に今更ネタバレもないとは思うんですが、長い感想になりそうなのでとりあえず隠します。

↓のエントリーでも触れましたが、通して6時間半の長丁場の舞台を観るくせに、前日睡眠時間3時間というあほなことをやらかしてしまった私、実は自分でもちゃんと起きていられるかどうか心配でした。
ところがね、前半二部の真ん中あたりでちょっと睡魔に襲われかけただけで全然大丈夫だったんです。ちゃーんとお話についていけました。
『ヘンリー六世』を観たのは初めてだったけど、その続きとなる『リチャード三世』を市村さんの映像と古田さんの舞台をナマで観てたので、ことの成り行きが分かってたからかしらん。

しかし改めて観てみると、イングランドの歴史って恐ろしいですな。血で血を洗う骨肉の争いじゃないですか。権力の座っていつの時代も人の心を惑わせてしまうのね(なんかえらく簡単にまとめてしまった気がするぞ)。
でもその恐ろしい争いが舞台になると面白いんですね~。人間って怖いわぁ(笑)。

ところで、蜷川さんの舞台でいつも感心するのがその美的感覚の素晴らしさ。
今回はまっ白い舞台の上からいろんなものが降ってきます。それが紅バラだったり、白バラだったり、白百合だったり、肉塊だったりと、降ってくるものでその場面がどこで誰中心なのかが分かるようになっている仕組みです。またそれが綺麗でねぇ。
それにしても蜷川さんってモノを降らすのがお好きですな。

役者さんに関しては、今回は皆さん実力者揃いだったこともあり、本当に全編見応えたっぷりでした。ま、上手い役者さん揃いじゃないと絶対に7時間弱もの舞台を持たせられないと思いますが。子役(幼いヘンリーを演じた中島来星くん)まで上手いんだから~。

特に印象に残ったのが、マーガレットを演じたしのぶさんと、ヨーク公を演じたこーたろーさん。
後編一部のマーガレットがヨーク公を惨殺するシーンは観てて鳥肌が立ったくらいです。
こーたろーさんの迫力に全然負けないしのぶさん。凄い。凄すぎるよ、この二人(しかしこのシーン、客席からは笑いが。何故に? 余りの凄まじさに笑うしかなかったのか!?)。

あと、横田さん演じるウォリックが好きだー。あの変わり身の早さにはちょっと笑えたけど。
だけど、やっぱりあーいう立ち回りができるからウォリックは‘キング・メーカー’と呼ばれたんでしょうね。
ウォリックは最初から最後までほぼ出ずっぱりで、かなーり美味しい役だと思いました。
よこちんも相変わらず観てて安心できる安定した役者さんですね。なんたって彼の声がいいのよー♪ 大好き♪

それとサマセット公爵役の星智也さん。最初の登場シーンからそのかっこよさは飛び抜けてました(あくまでも私の目には、ね)。さすがに文学座、声もいいし滑舌もいい。タッパもあるので、立ってるだけで絵になるんだよー。
今までにも蜷川さんの舞台に出演されてたのに、あんまし印象に残ってなかったのは何故だろう…。こんなにいい俳優さんなのになぁ。何観てたんだ、私!?…と反省 今後、注目して行きたい役者さんです。

意外だったのは(失礼な!)高岡蒼甫くんの好演でした。本当はイケメンの高岡くんに醜いリチャード役を振るなんて、蜷川さんもニクいことをおやりになります。
その大役をちゃんと演じ切っていた高岡くんも凄い。セリフに澱みがないんですね。語尾までしっかりクリアに聞き取れました。
これを観て、なんだか高岡くんの『リチャード三世』も観たくなってしまいました。
(で、高岡くんって今までにどんな舞台をやったことあるのかなーと思って調べたら、うわー、2004年にスズカツさん演出で『ベント』演ってるじゃん!)

そして、最後に上川さん。
神しか頼れない(頼らない?)、徹底非交戦・博愛主義のヘンリー六世を存在感薄く(いい意味でね)演じてらっしゃいました。これってある意味、凄いことなんじゃないかと私は思うんです。と言うのも、舞台上での上川さんの存在感の大きさはただ事じゃないから。それを消せると言うのは、ヘンリー六世の存在感の薄さをも表現できているのではないかと。
そしてセリフを聞かせる声のよさ。后・マーガレットの愛人サフォークを追放するところがあるんですが、そこはヘンリーが唯一感情を表に出すシーンです。でも大きな動きじゃなく、声で、言葉で怒りを表してみせる。それは声に表情と説得力がなければ表現できません。何事にもマーガレットに負けているヘンリーがただ一度だけ彼女に勝った(と言うのは変かもしれないが)シーンでした。
リチャードに殺されるラストシーンもヘンリーのセリフでうるっと目頭が熱くなりました。どこまで博愛主義者なのよ、ヘンリー!!と。その博愛主義がみんなを不幸にしたのに!!と。

カテコは3回。もう1回目からスタオベです。…つか、座りっぱなしに疲れてたので早く立ち上がりたかった(爆)。
3回目のカテコではキャストの皆さんも客席に向かって拍手されてました。お互いお疲れ様でした~。

…と、こんなカンジで初めての長時間観劇はなんだかんだで楽しめました。

でもね、やっぱり上川さんにはもっと出番の多いキャラクターでシェイクスピアを観たかった…とも思いました。
またあるのかなぁ、上川さんのシェイクスピア。

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コメント

  1. きゃさりん | URL | MpG3yszs

    お疲れ様でした~

    よこちん、声いいですよねえ。
    とにかく声質のいい役者さんに惹かれます。

    星さんもよかったんですね。
    星さん含め最近気になる役者は何故か背が高い人。
    向井理さんや、鈴木亮平さん(確かANJINに出てたような、見てないですが(笑)
    も気になるし。鈴木さんは地元出身だし。

    あ、でも小出さんは低い(笑)
    「から騒ぎ」のときはそれほどだったんですが、
    「パレード」見ていいなと思って。

    しかし、今更ですが、洋さん出て欲しかったな~
    出てたら12時間でも観にいったのに←強気

  2. Ray@管理人 | URL | 0/HLcGmk

    > きゃさりん

    今までに4時間半越えっつー舞台は観たことあったけど(『天保』ね)、6時間半は初めてだったよ。
    でも観て良かったかな。

    蜷川さんの舞台は脇に出てる俳優さんがビシッと締めてくれるので安心です。
    よこちん然り、星さん然り、ニッタン、妹尾さん、清家さん然り。

    >> 鈴木亮平さん(確かANJINに出てたような、見てないですが(笑)
    あ、鈴木さんね。出てらっしゃいましたよ。
    大阪楽ではオーウェンさんや外国人俳優さんの挨拶の通訳もされてたわ。

    洋さんねー。
    一体いつ舞台に戻って来てくれるんだか。
    おかげで私ゃ他に浮気しまくりぢゃんv-356(笑)

  3. こみ | URL | -

    観たかったなぁー

    入学が一人あって金銭的に厳しかったのと
    時間が取れなかったのが原因だな。

    テレビでやってくれないかね?

  4. Ray@管理人 | URL | 0/HLcGmk

    > こみさん

    私も上演発表された時には観ようかどうしようか悩んだけどね。
    なんせほら、チケット代が…。今までの最高値だったもんね。
    それまでの記録は『天保』@大阪だったけど。
    でも観てよかったと思うよ。
    最高値の価値ありでした。

    TV放送はあるかどうか分からんなぁ。
    ま、映像化はされるだろうけど。
    映像ででも是非観て欲しい舞台です。
    皆さん、見事だから!

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