劇団☆新感線二〇〇九秋興行『蛮幽鬼』(11月12日【木】12:30~/梅田芸術劇場メインホール)

2009年11月30日 23:09

いろいろ忙しくて、Upがめちゃめちゃ遅くなってしまいました。
2回リピったので、まとめて感想を書こうかと思ったんですが、おかんと一緒に行った時とひとりで観劇した時とはやっぱりいろいろ違うので、分けることにしました。
長くなりますがどうぞ最後までお付き合い下さいませ。m(__)m



私にとっては新感線観劇は今回で5作目。
一方、春の『蜉蝣峠』を観て、新感線になかなか好感触だったうちのおかん。
そのおかんの以前からのお気に入りさんである堺雅人さんが客演すると言うことで、またまた一緒に観劇してきました。
前回は席が1階と2階とに分かれてしまったんですが、今回は新感線FC(ええ、入っちゃいましたよ)でチケ取りして、1階9列センターブロックの上手側通路横で並んで観劇です。
前すぎないので舞台全体が見られ、それでいて役者さんたちの表情もちゃんと肉眼で分かる、とてもいい位置でした。


蛮幽鬼

【あらすじ】
天空を覆う星降りの雨の夜、閃く裏切りの刃が人の心の誠を切り裂いた。
一瞬にしてすべてを失った男は、闇の底で祈り続ける。

神よ。
天地を司る荒ぶる神よ。
我にこの辛苦を耐え忍び、
無念を晴らす力を与えよ。

そして闇の中、新たな友と出逢う。
全身から血の匂いを漂わせ彼は語りかけた。

切り開け、自分の運命を。
そして壊せ、おまえが気に入らぬもの全てを。
神の心に背く邪悪な者たちを、憤怒の炎で燃やし尽くせ──。

だがその大いなる憎悪の前に、地上の神─この世を治める大王が立ちはだかった。
それは、女。
男がかつて心から愛した、かけがえのないその人だった……。

次々と連鎖していく醜悪な裏切りの怨嗟。
闇の友と繰り返す終わりなき復讐の殺戮。
そして変転していく運命の果て、男の眼に見えてくるほんとうの地獄とは──。

【配役】
伊達土門/飛頭蛮…上川隆也

京兼美古都…稲森いずみ

方白/刀衣…早乙女太一

稀道活…橋本じゅん
ペナン…高田聖子
音津空麿…粟根まこと

稀浮名…山内圭哉
遊日蔵人…山本亨
京兼惜春…千葉哲也

鳳来国の大王…右近健一
音津物欲…逆木圭一郎
ガラン…河野まこと
浮名の妻・鹿女…村木よし子
果拿の国・舟役人…インディ高橋
惜春の密偵・丹色…山本カナコ
果拿の国王…礒野慎吾
ロクロク…中谷さとみ
美古都の侍女・七芽…保坂エマ
監獄島看守…村木守
京兼調部…川原正嗣
東寺無骨…前田悟
果拿の学者…武田浩二

サジと名乗る男…堺雅人

【作】中島かずき
【演出】いのうえひでのり



シェイクスピアとか、既存の脚本などの舞台は自分でも原作を読んだりして、演出以外のネタバレは全然平気な私ですが、新作となると話は別。
とにかくネタバレがイヤなので、今回の『蛮幽鬼』観劇前は某巨大掲示板や感想Blog巡りは全くしませんでした。ただ、好評なのは風の噂で聞いてましたが。
なので、正直言ってめっちゃ期待してたワケでもなかったんです。いや、新感線だからそれなりのものは見せてくれるだろうとは思ってたけどね(←なんって上から目線なんだ)。

今回の客演2トップは上川隆也さんと堺雅人さん。
私が上川さんの舞台を観るのはこれが3作目です。上川さん出演の舞台は去年暮れの『表裏源内蛙合戦』から欠かさず観てることになります。それもなかなか前方列のセンターブロックでばかり。ありがたや~。
片や、堺さんの舞台を観るのはめっちゃ久々で、これで2回目です。初ナマ堺さんだった『お父さんの恋』はおかんと一緒に観たり、観る予定だった『噂の男』は仕事がどーしても休めずにチケを手放したり、そんな経緯があったのでした。

それにしても前置き長っ!

さて、そろそろ本題。
恒例のJUDAS PRIESTの“Heavy Duty”~“Defenders Of The Faith”が流れて「おお、始まる!」とこちらも心の準備に入ります。(ところですっごい余談だけど、いのうえさんは10月のJUDASの来日LIVEには行かれたのだろうか?)
感想。

やばい、やばい。
めっちゃ好みのテーマじゃないか、これ!
『蛮幽鬼』のネタ元になった『岩窟王』はその昔に原作も読んだし、最近ではジム・カヴィーゼル主演版の映画も観ていて、結構好きなお話なんです。
つーか、復讐劇が好きなのかも知れない、私
なんせ、分かりやすいもんね。
人物像も相関関係も全てが分かりやすい。
ありがちな話だとしても、この『蛮幽鬼』にはそれ以上のものがあったような気がします。
出てくるキャラクターが観る側を惹きつける何かを持っていると言うこともあるのかな。

復讐の鬼と化しながらも、愛する人に対してだけは心から憎悪の念を抱ききれない飛頭蛮(敢えてこう呼ぶ)。
微笑の裏に何か得体の知れない闇を抱えている殺し屋サジ。
土門を愛していながらも大王に嫁ぎ、その大王の遺言を守り抜こうとする美古都。
殺し屋種族の出身でありながら、人を守ることに生き甲斐を見出した刀衣。
その他にも、土門の心に宿る美古都の影を知りながらも傍にいたペナン、政略結婚でありながら最後まで旦那様の浮名を愛し続けた鹿女など、本当に印象に残りまくりのキャラクターばかりでした。
しかし、考えたらいっちばん恐ろしいのはサジなんかじゃなくて、自分が権力を持ちたいがために己の息子や娘までを巻き込んでしまった惜春だったのかなぁなんて思ったりしたんですが。
いや、やっぱりそんな惜春の目論見までをも笑顔で見抜いたサジが最恐か。

役者さん。
客演の方は全て新感線の世界にマッチして素晴らしかったです。
個人的には特に上川さんが良かった! 映像で有名になった役者さんではあるけれど、やっぱり元は舞台の人です。
舞台上での‘魅せ方’が上手い!
舞台役者さんは運動能力勝負と思ってるんですが、上川さんのそれは半端ないです。いのうえ歌舞伎に必須の立ち回りのスピードや正確性はそれを物語ってると思います。
演技はね、もう今更何をか言わんやですが、眼と声での感情表現が素晴らしかったです。ほんま、ええ声してはるわ~
歌はそれほどお上手ってワケじゃないけど、聖子ペナンと歌う「一心蛮在」の歌は凄く好きでした。サントラに入ってなくてすっごく残念。

堺さん。
堺雅人という役者が演じる役を笑顔の殺人鬼にした中島さん。GJ。
堺さんって柔らかな微笑みの奥底に何かいろんなこと考えてそうで、ちょっと「どんな人なんだー?」って思ったことがあったので、このサジって堺さんにぴったりの役だなーと。
最近は映像方面で引く手あまたの堺さんだけど、板の上に立つと「さすがかつて‘小劇場のプリンス’と言われただけのことはある!」と感じます。微笑みから一瞬で策略家の顔になる、そのサジ加減(洒落か!)に感心。

稲森さん。
正直ね、今までの新感線の客演女優さんの中では一番弱いかなー?って思ってたんす、観るまでは。
ところがどっこい。そうじゃなかった。
一幕では、美古都の設定上そうしなきゃいけないのかもしれないけど(なんせ「守られる」立場なので)、ちょっと「ん?」と感じられるところもあり。
でも二幕になって、自分が大王となり、「守られる立場」から民を「守る立場」に変わることによって、美古都の声や立ち居振る舞いに強さが出てくるんです。
ラストのセリフには涙、涙だったよー。
とにかく綺麗でした。

太一くん。
なんなんすか、あの舞うような立ち回りは! 剣捌きは!! いや~、華麗だったわ~。
方白としての登場の仕方にも「あらま、うつくしー♪」って思ったけど。
セリフはまだまだ大衆演劇ってカンジでしたが、今後も自分ちの劇団以外の芝居に出てるうちに次第に慣れてくるんじゃないかと思います。

山内さん。
浮名の小物振りが面白いけど、哀しかった。
空麿@粟根さんとの名(迷?)コンビには笑わせてもらいました。
でも山内さんって強面だけどええ男よの。

千葉さん。
影の大物・惜春役、お見事でした。
ただ、大物感が最初から垣間見られたのが「ええええーーーっ!?あなたが???」って程までに驚けなかったのがちょっと残念には感じました。

山本さん。
蔵人って美味しい役どころだったと思う。
実直そうな蔵人の人柄が演技からも感じられ、とても良かったです。

劇団員さんたち。
毎回しっかりした演技でがっちり脇を固めてくれます。
その中でもやっぱり毎度じゅんさんには注目してしまいます。
今回のコール&レスポンスのコーナーにも爆笑しながら、大声で参加させて頂きましたよ。
聖子さんのペナンも良かったー!

ラスト数十分間は号泣でした。
本当に心を持って行かれたこの『蛮幽鬼』。
1回だけじゃどうしても納得できず、その後チケットを探してリピしてしまうことに。


さて、一緒に観劇したおかん。
ものすごくこの舞台が気に入ったようです。
で、もともとは堺さん目当てだった筈なのに、いつの間にか上川さんにときめいちゃってたようで、今ではすっかり上川さんファンを名乗ってます(笑)。
「また上川さんの舞台が観たい」と言ったので、「春に『ヘンリー六世』あるよ? 上演時間6時間半だけど」と答えたら、「6時間半はさすがにムリ。あんた私の分まで観て来て」ですって

なので、おかんの分まで『ヘンリー六世』を観て来ることになりました(笑)。
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コメント

  1. こみ | URL | -

    素敵なレポありがとう~

    上川さんにハズレなし。
    結構観てる方ですが作品的にどうなの?と思う物でも
    彼の演技で持たしてしまうのは流石です。

    「天保十二年のシェイクスピア」のミヨジが
    悪の魅力全開で好きだったのよー観た?
    持ってるけどビデオなのよ。
    あとキャラメルでは「TRUTH」も悪役で好きだったなー
    もちろん「SHIROH」もはまりましたが…
    悪役のが色っぽいんだもの…

  2. Ray@管理人 | URL | 0/HLcGmk

    > こみさん

    褒めてもらえてうれしー。ありがとー。
    でもまだ自分ひとりで観た日の感想がUpできてないよー。
    まだまだ時間がかかりそうだけど、ガンバリマス。

    上川さん。
    ここんとこ3作観たけど、舞台で映える役者さんですな。
    とにかく運動能力がハンパない。
    あと、声がいいのは凄い武器だと思います。
    これからも上川さんの出る舞台は見続けたいなぁ。

    飴箱苦手な私が上川さん出演作で妙に好きなのが『ミスター・ムーンライト』。
    でもあの作品も上川さんで持ってると思う…。

  3. こみ | URL | -

    絵本の読み聞かせのシーンが子ども共々気に入ってます。
    「あさえとちいさいいもうと」好きな絵本だし特に。

  4. Ray@管理人 | URL | 0/HLcGmk

    > こみさん

    図書館が舞台だもんね、『ミスター・ムーンライト』。
    お話自体が優しいのが好きなのかな。
    上川さんの女性言葉ってのもツボでしたが(笑)。

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